当社が誇るエンジニア

人物像

父の趣味が電気工作であったことから、自宅には幼少よりドライバーや、ペンチ、ニッパー、導線などの工具や材料が溢れていた。そんな環境で育った大野少年は、自然と工業高校へ進む道を選択し機械科を専攻した。当時は8ビットマイコンを使用したパソコンブームの影響を受け、家庭向けとしてはまだ高価であったパソコンを親にねだって買ってもらい、BASIC言語で簡単なゲームを作り遊んだのだという。「仕事に近い趣味を持っている人は伸びる」と本人は語るが、大野さんはその典型的なタイプであるとの印象を受けた。

流儀の原点

大野さんは入社以来開発畑を歩んできた。会社での思い出話を伺うと、水力発電所の設備監視システムの開発を担当した入社間もない頃を振り返り「現地調整時に水⾞発電機を間近で見たこと」だと答えてくれた。水力発電の仕組みは、水を高いところから低いところへ勢いよく流した落下エネルギーを利用して水⾞を回転させ、その回転により発電機を動かすことによって発電を行うことである。言葉にすると単純だが、実際の現場を目の当たりにすると「巨大な水力発電所の施設に圧倒された」細かな技術の集合体である水力発電設備の構造や仕組みを理解するため「自ら文献を調べた」と語る。若手エンジニアにも「一つの部品の役割を全体像から観察して勉強してもらいたい。また、興味を持ったことはどんどん調べて知識を広げていって欲しい」と期待している。これと決めたらとことん追求。これが彼の『仕事の流儀』の原点かもしれない。

現場がひとつになった瞬間

現在の主な業務は電力向けを中心とした監視制御システムに組み込まれる基板の設計や、高圧スマートメーター通信ユニットの開発などのマネジメントだ。仕事のうえで大切にしていることは「目標達成に向けエンジニア一人一人が業務を遂行できるようアシストすること。一人でできることは限られているので、チームワークを大事にしたい。所詮、自分も⻭⾞のひとつ」と語ってくれた。実はそれを強く感じた仕事があったのだ。  某大手電機メーカから高圧スマートメーター通信ユニットを受注した際、約12ヵ月かかる見通しだった開発期間を6ヵ月に短縮するというタイトなスケジュールを要求されたことであった。あまりの短納期に当初は実現不能かと思われたが、当時の所属部門には筐体設計・基板設計・ファームウェア設計のエンジニアが一同に会していたこと、ソフト設計部署や、設計主管部署の若手エンジニアの協力があったこと、独創的なアイデアや、関係者のコミュニケーションを密にしたことで大幅に工程を短縮し、3ヵ月後に試作品、6ヵ月後には最終製品を納品し、お客さまの要望に応えることができた。現場の力がひとつになっからこそ成しえた成果だ。この経験からは、全体を見渡し把握する力、自身が潤滑剤となって多くのエンジニアの橋渡しを行い、個々の力を結集することの重要性を痛感した。そこにマネジメント業務の真髄を垣間見たのだろう。

取材実施月:2019年9月

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