電力供給の大規模システムを
支えるチカラ

平成28年4月から電力の小売全面自由化が開始され、各家庭を含む全ての消費者が、
電力会社を自由に選択できるようになりました。
その大きな電力システム改革の裏では、当社エンジニア達の「飽くなき挑戦」が
ありました。ここでは、プロジェクトメンバーへのインタビューを通して、
その軌跡を紹介いたします。

Member
  • 堀 竜也

    堀 竜也

    Tatsuya Hori

    電力事業部
    系統システム部
    中給・BG推進プロジェクト
    プロジェクトリーダー

  • 池田 則昭

    池田 則昭

    Noriaki Ikeda

    電力事業部
    ソフト設計第一部
    ソフト第一課
    主任

  • 平尾 成良

    平尾 成良

    Seiryo Hirao

    電力事業部
    系統システム部
    中給・BG推進プロジェクト
    主任

  • 小松 孝成

    小松 孝成

    Kosei Komatsu

    電力事業部
    系統システム部
    中給・BG推進プロジェクト

電力自由化と中央給電指令所

平成28年4月から電力の小売り全面自由化が開始されましたね。今では当たり前のように、各ご家庭が電力会社を選択できますが、その電力自由化という制度において、当社はどのように関っていたのでしょうか。

当社と電力自由化の関係を語るにあたっては、まずは中央給電指令所の話が欠かせません。中央給電指令所とは、各電力グループそれぞれにある、重要な施設です。24時間365日、管内全体、四電グループでいうと四国全域の電気の需要を監視し、供給をコントロールしています。天気や気温、時間帯など、様々な要因により時々刻々と変化する電力需要を予測し、発電所に発電の指令を出します。

まさに電力供給の中枢と言えますね。

その通りです。四電グループにおいては、当社がそのシステムの開発・保守を担当しているのですが、電力自由化にあたって、システムを広域機関運用ルールに適合させる必要がありました。

広域機関運用ルールとは何でしょうか。

まず、広域機関についてですが、正式には電力広域的運営推進機関と言い、電気事業法に基づき、電力広域運用の司令塔として設立された機関です。その機関が、全国大で電力の安定供給が確保されるよう定めた決まりが、広域機関運用ルールです。電力会社間では、そのルールに則って電気の流れを監視・調整しています。
当社のミッションは、平成28年4月の全面自由化に向けて、広域機関が定めたルール・仕様に対して、必要とされる機能を実現させるために、中央給電指令所システムのソフトウェア開発やハードウェアの改良工事を行うというものでした。

プロジェクト発足

今回のプロジェクトは2年がかりとお聞きしましたが、発足にあたって、どのようにメンバーが集められたのでしょうか。

電力の全面小売自由化は平成28年4月と決まっていたため、必然的にシステムの検討から運用開始までを約2年で行う必要がありました。運用開始は待ってはくれませんから、何としてでも間に合わすべく、中央給電指令所システムの経験者の中から精鋭を集めたチームを結成し、取り組むこととなりました。

そのチームのメンバーとして、皆さんが選ばれたのですね。それぞれ思いを抱いて臨まれたと思いますが、特にチームリーダーを任された堀さんは、大きなプレッシャーを感じたのではないでしょうか。

もちろんプレッシャーはありましたが、それは今回のプロジェクトだけが特別というわけではありません。日頃から、電力の安定供給を支えているという責任を感じ業務に取り組んでいます。むしろ、今まで培ってきた技術を駆使して、必ず成功させようという気持ちの方が大きかったですね。

平尾 私も堀さんと同じく、長く中央給電指令所システムに携わっているので、沢山のことを経験してきたと同時に、このような大規模開発・改良工事の苦労も味わってきました。今回も、事前に話を聞かされた段階で容易ではないと感じていましたが、過去に乗り越えてきた自信から、やってやるぞ!と燃えていました。

池田 開発は、協力会社の方も含めると、過去類を見ないような大人数体制で行うこととなり、これは大変だな、と感じましたね。人数が多ければ多いほど、意思疎通に齟齬が発生しやすい、しかも、中央給電指令所システムというのは専門性が高く、経験者でないと理解が難しいと来たものだから、我々メンバーは、技術者としての知識やスキルだけでなく、人に伝える力や指示する力が、高いレベルで求められるな、と。

小松 私は四国電力株式会社に出向し、中央給電指令所で運転員として仕事をした経験があったため、それを活かそうと張り切りました。中央給電指令所では、電力系統に何らかの変化があった場合、運転員が「速やかに」状況を把握し、かつ意思決定をして対処しなければなりません。「速やかに」というと優しく聞こえますが、実際に現場では、人間の限界に挑戦するくらい、短い時間で判断することが要求されます。それを支えるシステムを当社が作っている。どんな時に、どんな情報が、どんな風に提供されるのがベストか。裏を返せば、今回のメンバーのうち、当社社員で運転員としての経験があるのは私だけだったので、その分、大きなプレッシャーを感じていました。

プロジェクト発足

四国計測工業だからこそ

中央給電指令所システムのような、管内全域の電気の流れを監視・調整したりする大規模システムの開発・改良工事は、通常、大手重電メーカーが手掛けることが多いと思うのですが、四電グループにおいては、当社が実施しましたね。当社規模の会社が行うのは異例ではないでしょうか。

そうですね。もともと四電グループはできることは自分たちでやろう、挑戦しようという気風があります。それもあって、当社も以前から中央給電指令所システムの開発を任されており、その実績が認められて、今回も行うことになりました。

今まで培ってきた技術や、築き上げてきた信頼があったからこそ、ということですね。しかし、今回のプロジェクトは規模が大きく、制度も大幅に変わるため、精鋭である皆さんにとっても、未知の世界だったのではないでしょうか。

やはり、一筋縄ではいきませんでしたね。まず、大きな進め方としては、広域機関がベースとなる仕様を決め、各電力グループ・各重電メーカーがそれに基づき開発を行っていくのですが、制度が非常に複雑であることと、広域機関側が各電力グループのシステムの全てに精通しているかというと、それぞれの会社に長く積み重なった歴史があるためどうしても限界があり、難航し、一旦決まった仕様が後から変更になることもありました。

仕様の決定が遅れたら、その後の開発期間が短くなってしまいますし、仕様が後から変更になったりすると、それまで作っていたものがやり直しになるということですよね。

はい。加えて、今回のプロジェクトは、既存のシステムを改造する方法で行いました。それはつまり、新旧両方の機能を混在させて運用する必要があったということです。大規模な開発・改良工事は、既存のシステムとは別に新規のシステムを構築し、完成後に一気に置き換えるという方法が主流です。しかし、出来るのであれば、既存システムを改造するほうが効率的です。
ですが、新旧混在で運用するということは、改造が原因で障害が発生する可能性と、常に隣り合わせでもあります。特に中央給電指令所システムのように大規模なものであれば、その影響はとても大きく、万が一、何かのトラブルでサーバーが止まってしまうと、最悪の場合、四国全域の電力供給に深刻な問題が発生することも考えられます。新旧混在での改造というのは、その「万が一」を発生させない技術力が必要とされる方法なのです。

なるほど。実際に、新旧混在での工事は四電グループだけでしたが、難航した仕様決めを含め、当社はそれらをどのように乗り越えたのでしょうか。

いずれも、当社の大きな強みがあったからこそ、乗り越えることができました。その強みとは、「中央給電指令所システムの全体が分かっている」ということです。我々は大手重電メーカーとは異なり、中央給電指令所を運用する電力会社の近くにいて、その歴史や課題を共有してきました。これは、都度、単発で工事を行っている大手重電メーカーにはないものだと考えています。

平尾 過去からの積み重ねによるノウハウに加え、中央給電指令所システムの全体を把握している人が社内に何人もいる。そのおかげで、決められた仕様に対して、また、仕様が後から変更になった場合にも、何が最適か、スムーズに導き出すことができます。さらには、ある箇所を改造すればどこに影響があるかも分かる。「個」ではなく「全体」での最適化ができるというのも強みです。

池田 全体での最適化というのは、例えば、今回のプロジェクトには直接関係のないネットワーク関係、中央給電指令所システムと各地の発電所を繋いでいる通信システムに影響があるかもしれないと感じたときは、「通信システム部」というプロ集団が同じ建屋内にいて、すぐに相談でき、事前に対策を講じることができます。だから新旧混在での運用においても、大きなトラブルなく工事を進めることができました。

電力システムの各分野のプロが必ずいる、というのが我々「四国計測工業 電力事業部」です。無事に工事を完遂することができたのは、我々プロジェクトメンバーだけでなく、そんな全員の力が合わさったから、とも言えるのでしょうね。

プロジェクトを終えて ~四国計測工業で働くということ~

プロジェクトを終えて、どんなお気持ちですか。

予定工期通りに、無事故無災害で工事を完遂でき、平成28年4月の運用開始後も、広域機関運用に支障を与えるような障害が発生していないということで、社内外から高い評価を頂き、非常に嬉しかったです。自分たちの技術によりいっそう自信が付きました。

平尾 先にもありましたが、我々は中央給電指令所を運用する電力会社の近くにいて、共に歴史を歩んで来たがゆえの、電力システム設計のプロ集団です。四国にいながら、電気の使われ方や発電状況を予測して制御するような、大規模なシステム開発を行うことができるのは、当社だけではないでしょうか。

池田 電力関係のシステムに興味があり、電気の安定供給に携わりたい、という方にとっては、当社は非常に魅力的な環境だと思います。長く積み重ねられてきた技術や知識に触れ、学ぶことができますし、それだけでなく、幅広い経験が積める環境でもあります。私自身、入社前は想像していなかったほど、色々なことを経験させてもらっています。ルーチンワークではなく、常に新しい仕事に取り組んでおり、日々発見があります。

小松 加えて、頑張ったことが報われる、褒めてもらえる会社です。我々チームメンバーは、今回のプロジェクトの成果が評価され、社内表彰制度で社長賞を頂きました。また、社員のやりたいという声も大事にしてくれます。そのため、自分で勉強したら、事業の多様さも相まって、何でもできる会社だと感じています。

チームメンバーをはじめ、社内、社外、多くの方の協力で、今回のプロジェクトは大成功で終えることができました。達成感を抱いたまま、ホッと一息つきたいところではありますが、そうはいきません。電力自由化は、スタート地点だと考えています。四国全域で風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーはますます増えていくでしょうし、IoT・AIの時代が到来します。VPP(バーチャルパワープラント)や蓄電池など、エネルギーシステムも大きく変わることが予想されます。それら激動する時代を生き抜いていくためには、我々経験者と、若い方、それぞれが持つ知識を融合させていくことが必要だと考えています。特に学生時代にIoT・AIを学んでいれば、大きな武器になるでしょう。ですが、一番大切なことは、私たちはみんな、四国の明かりを守りたいという気持ちを持って仕事をしているということです。何よりも、そんな方と、未来に向けて一緒に仕事をしていきたいですね。

プロジェクトを終えて ~四国計測工業で働くということ~

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